旅する生きもの大学校!

第6回「旅するいきもの大学校!」

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  • 1月11日、晴れ渡る空の下、絶好のコンディションで、第6回「旅するいきもの大学校!」が、生坂村「創造の森」にて開催されました。インフルエンザで欠席者が多数いましたが、参加者20名、スタッフ14名の計34名が集まりました。

    第6回ともなると参加者は開講前から会話が弾み、笑顔が溢れ、和やかな雰囲気です。そして今回は最終回。終了任命証の授与式も控えており、胸が高まります。
    始めに星野さんとクラブツーリズムの鈴木さんから、今回までの取り組み内容や本日の日程などについて説明がありました。

    次に、奇二先生よりご挨拶がありました。

    「生坂村は1992年の地球サミットで決定された気候変動や生物多様性に関する条約に基づいて、脱炭素先行地域として気候変動に対する対応を進めており、次に今回の事業を通し、生物多様性の保全に取り組み始めました。

    具体的には、スマートフォンのアプリを使って生き物のデータを収集し、その情報を基に計画を立て、落ち葉ステーションやビーハウスを設置しました。来年度はフィードバックを行いながら継続していく予定です。」

    気候変動と生物多様性を同時に進行する生坂村の取り組みは、日本では前例がないのでは、そして生物多様性の保全は、本来専門家の仕事であるのに観光ツアーのコンテンツとして取り入れてしまい、結果観光庁の12のプログラムの中で最も多くの参加者を集めたという、嬉しいご報告もいただきました。

    奇二先生は来年度、自身の技術を協力して下さる地域の皆さんや参加された皆さんと共有し、皆で提案を出し合いながら自走できる仕組みを築きたい、と仰られ、最後に「生坂村の恵みを享受しつつ、生物多様性にも貢献していく。この場所を舞台に、生き甲斐を持って楽しんでもらえたら。」と、温かい言葉で締めくくられました。

    次に生坂村村長からご挨拶があり、生坂村を訪問し、今回の取り組みに参加された方々、そして関係者やご支援下さった方々に対し、感謝の言葉が述べられました。

    村長は、地域の課題を解決するため、昨年は生坂村が脱炭素先行地域に選定されこと、本年度は新たにリジェネラティブツーリズムを実施し始めたこと、これからもより良い未来を築くために多様な視点で取り組み、生坂村が持続可能な村として発展するよう努力していく、と仰られました。

    最後に、今回参加くださった皆様が生坂村に関心を持ち、地域への愛情を感じていることに対して深く感謝されるとともに、今後もこの事業を進めるためのご協力をお願いしたいと述べられました。

    続いて終了任命証授与式が行われました。

    村長から一人一人に「生坂村公式自然研究員」のIDカードと「終了任命証」が手渡され、写真撮影をしました。参加者たちは早速自分のIDカードをネームプレートに収め、満面の笑みを浮かべていました。

    最後には全員で記念撮影を行い、素敵な思い出を刻みました。

    続いて「餅つき大会」が行われました。

    生坂産のもち米4升を、杵と臼を使い、皆で交代で餅をついて大盛りあがり!

    つきたてのお餅は、お雑煮、きなこ、あんこ、おろし大根、納豆、磯辺、アイスクリームといったバラエティ豊かな味付けで楽しみました。どれも絶品!お腹も心も満たされました。

    巣箱取り付けに行きますよー!」

    という掛け声とともに、皆で移動しました。

    いつも「創造の森」の畑を管理している大好き隊の尾井田さんが、前回作成した巣箱を取り付けてくれました。

    シジュウカラが巣箱を気に入ってくれることを願いながら、その姿を見守りました。

    そして後半はやまなみ荘に移動し、「生坂村公式自然研究員」のみんなでつくる「いくさか創造の森」フューチャーセッションが行われました。最初静かだった会場は、進行を務めるフューチャーセッションズの上井さんのユーモアを交えた軽妙な開会の挨拶により、笑いが広がりました。

    テーマは「10年後の2035年、創造の森や生坂村のありたい未来を一緒に描く」。未来を描くことで、未来の自分と場所の関わりや、様々なつながりが意識されるそうです。

    進行に先立ち、上井さんは次のように会話、議論、対話の違いについて説明しました。

    会話:仲良くなるために使う、楽しむためのやり取り。

    議論:自分の考えを主張し、相手の考えに対して意見を述べ、何かを決めるもの。

    対話:明確な答えのない問題について、お互いの思いを伝えあい、受け入れながら交わすもの。

    「本日は、答えのない未来の可能性について対話を交わしていきます。」

    まず、ペアを組んでシンプルな対話を交わし、これまで生坂村で学んだことや楽しかった体験をシェアしました。

    その後、上井さんは未来の思考法として二つのアプローチを紹介されました。それは、フォアキャスティング(予測)と、バックキャスティング(未来から逆算)です。

    本日はバックキャスティングをメインに、10年後の2035年に生坂村の研究員として何を実現をしているかを逆算して考え、そのためにとったアクションやそのきっかけについて、インタビュー形式で意見交換しました。

    上井さんが「相手の話を聞いてワクワクしたした人!」と問いかけると、参加者たちの手が次々と挙がりました。「大人も子供もいろんな実験やチャレンジが出来るミニ実験室の設置」や「オーガニックワインの販売」他、多彩で魅力的なアイデアが飛び出しました。

    次に、参加者それぞれ「10年後に実現したいこと」を紙に書き、似た考えを持つ人同士で集まって6つのチームを作りました。

    そして次のテーマが与えられました。

    「2035年、生坂村公式自然研究員の成果が実を結び、生坂村・創造の森が国内外で注目を浴びています。その様子をメディアが取り上げました。その一面を作成してください。」

    詳細には、

    ・未来の創造の森はどんな様子か。

    ・創造の森を超えた新しいプロジェクトが進行しているか?

    ・研究員たちはどんな活躍をしているか?

    ・何が「きっかけ」でこうなったの?

    ・未来の創造の森の美しい風景や、研究員たちが活動している様子を描こう!

    以上を、未来の可能性を楽しみながら、相当にインパクトのある一面を勢いと脳と体とチームワークで作成するよう指示が出ました。

    時間制限は30分という短い時間でしたが、皆で意見を出し合い、内容を練り上げていきました。

    発表時間が来ると、各チームから次々に魅力的なアイデアが披露されました!ここでは内容は控えさせていただきますが、発表された大見出しは、次の通りです。

    「ラボキャンプ いくさかラボ(の一区画)にNASAが参入!?」

    「日本初!?COP21開催地は生坂村が選ばれる!!」

    「生坂村に大学のサテライトキャンパスができた!」

    「グランメゾン生坂、ミシュラン三ツ星獲得!!」

    「世界初!自然のスポーツで世界平和を」

    「絶滅危惧種も集う村!人口5倍で世界の美しい村百選に!」

    どれも斬新でインパクトのある一面ばかりです!会場は活気に満ち、ワクワク感に包まれました。最後に一面を手に、全員で記念撮影をしました。

    上井さんが、セッションの締めくくりに感謝の言葉を述べました。「数ヶ月間、共に過ごしてきたからこその素晴らしいセッションでした。描いた未来が10年後には実現するかもしれません。それぞれが行動を起こすことで、その未来に一歩近づけると思います。また皆さんと再びお会いできることを楽しみにしています。」

    次に星野さんからは、今回の取り組みが環境庁のモデル事業の実証実験であり、「パーフェクト」と評価されたこと、更に環境庁の「第2回サステナブルな旅アワード」で特別賞を受賞したことが報告されました。これらの成果は皆さんの協力によるものであると、感謝の気持ちが述べられました。

    そして4月以降の活動への呼びかけと、オープンチャットも引き続き創造の森や生坂村の活動情報を共有しながら、ディスカッションできる場にしていくことが伝えられました。

    最後に、「創造の森はこれからもゆっくりと進んでいきます。春にはワインの苗木を植える予定で、鹿による食害の心配もありますが、楽しみにしています。今後も皆さんと一緒に活動していけたらと思っています。」と語られました。

    参加者たちはそれぞれの思いや感謝の気持ちを分かち合い、名残惜しみながらも会場を後にしました。

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